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くらしと社会

台所の魔法使い、北欧へ行く

2024年10月30日、コープ自然派兵庫(Iブロック)は、台所にあるもので体調を整える「台所の魔法使い」こと煙山昭子さんから、世界一幸せな国といわれるフィンランドの訪問記を聞きました。

講師の煙山昭子さん(右から2 番目)もコープ自然派兵庫I ブロックのメンバーです。

きっかけは「大麦」

 煙山さんは30歳で体調を崩したことをきっかけにマクロビオティックを基本とした食生活に切り替え、「家族でできるゆるヴィーガンで免疫力を整える」などの講座を行ってきました。大麦は水溶性食物繊維が豊富で、健康効果が高い穀物。大麦を使った食養生の講座を各地で行うなかで、麦わらでつくる装飾品「ヒンメリ」に出会い、ヒンメリの発祥地であるフィンランドに魅了されて60代でプチ留学に挑戦しました。

大麦入りのおにぎり。大麦の割合は30%ほどがおすすめです。

サスティナブルなくらし

 フィンランドを訪れたのは2024年の夏。最初の一週間はフィンランド西部の都市ヴァーサにあるヒンメリ作家エイヤ・コスキさんの自宅に滞在しました。 ヒンメリの材料は、エイヤさんのパートナーがつくるオーガニックライ麦の麦わらです。見渡す限り田園が広がり、その中にポツンと家がある風景が続く場所で、ヒンメリ制作やライ麦畑を散歩してのんびりと過ごしました。フィンランドの主食はライ麦パンやオートミール。ベリージャム、ソテーしたきのこや野草も添えられて、決して華やかではないけれどフィンランドらしい素朴で滋味深い食卓の日々です。

 フィンランドには国産の食品に関する独自の食品表示があります。「食品情報協会」のマークは、フィンランド産の食品の原料、製造、梱包に付いています。「フィンランド労働協会」が管理するマークは、原材料の産地から製品ができあがるまでの過程の50%以上がフィンランド産であることを保障するマークで、原材料はもちろん、包装、梱包、製造元、下請け元、人件費も含みます。「国内野菜協会」のマークは、原料も栽培も100%フィンランド産の野菜に付いています。環境面でも海洋プラスチック問題に取り組む規制として、容器のキャップが自然界に破棄されることを防ぐため、2024年7月までに容器本体とキャップをつないだデザインにすることが義務化されました。ペットボトルはデポジット制のためポイ捨てもほぼありません。

ラベル、キャップも100% ペット素材なので分別不要。100%リサイクルを企業努力で行っています。

幸せな国の在り方

 フィンランドには数多くの公園があります。夏は背の高い木々が茂り、緑や花であふれた景観です。犬のマーキングは「禁止」ではなく「YES」と書かれた場所が設けてあるなど、ポジティブな表現で心地の良い空間がつくられています。そして、誰もが自然を楽しむ権利「自然享受権」があり、森の野生ベリーやきのこは誰でも摘むことができます。また、ヘラジカが麦を食べに畑にきても、害獣ではなく共に生きる訪問者という感覚。

 フィンランドでは「子どもは国の宝」という考え方のもと、教育は無償が原則です。給食は選択力を養うためにブュッフェ方式だそう。また、多様な子どもたちの文化に合わせ、日常的に普通食とべジタリアン食が用意されています。主食は伝統的なライ麦粉100%のパン。煙山さんは「伝統的に食べ続けているものは私たちの免疫をつくっていて、今もなお続いているということは、その国に欠かせないものであり、給食の在り方の大切さや、日本も含めて穀物は伝統食であることを確信しました」と言います。

幸せのメソッド

 煙山さんは「フィンランドの人たちは自分をご機嫌にして幸せに暮らしています。私たち日本人も幸せに生きる能力は高いはず。潜在能力に働きかけて五感を満たしてほしい」と話し、煙山さん自身の味覚を満たす麦ごはんの炊き方を紹介。まず炊飯器に大麦を入れ、同量の水で2時間浸水。次に洗い米を入れ、水加減は同量+5%増程度で自然塩を一つまみ入れて白米モードで炊飯します。鍋の場合も炊き方は同様です。「3割以上の麦を日常的に摂取することは体調改善を促し、効果をあげたい場合は5割まで増やすこともできます」と話しました。

Table Vol.510(2025年2月)

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