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海底の青函トンネルを通って青森から函館に渡る北海道新幹線に乗りたくて旅に出ました。南国志向で南西方面に行きがちな私は合宿や出張以外で東北地方を訪れた経験があまりなく、恥ずかしながら津軽半島と下北半島どっちが右だっけ?と尋ねるほど地理歴史文化的知識ゼロ。出発まで50日もあるから、せめて名物や郷土料理は調べよ~と張り切ったものの、いつものようにバリバリの準備不足で青森空港に降り立ちました。
バスを待つ間、空港内の青森漁連の売店へ。ショーケースに貼られた実物大マグロの写真が躍るパネルに、なるほど!大間は青森なのかと納得。部屋呑みにピッタリの帆立のおつまみや、美味しそうなアップルパイを購入していざ乗車。きっと赤い実タワワなリンゴの木が見えるはず♪とワクワク車窓を眺めるけど1本も見かけません。なんでやろ??私の暮らす奈良では、秋になれば近所を運転していても、近鉄電車の窓からも、美しい夕陽色の実をたっぷりつけた柿の木が必ず目に入ります。そんな景色を期待したんだけど…見当たらない。
さて到着した青森駅近辺でねぶたを見たり散策中にリンゴ屋さんを発見。箱詰めされた様々な種類のリンゴやりんごジュースを発送してくれるお店みたい。「りんごジュース100円」と書いてあったのを頼んでみると、一升瓶から紙コップになみなみと注いでくれて、ゴクリと飲むと衝撃!新鮮なリンゴをかじった時に口にひろがるあの爽やかな香りとジューシーな甘みそのもの、うっひゃあうんまぁ♪一口ごとに感動しながらお店の中を見回せば、明らかに他県の品種が2種類ある。お店の方に青森産以外のもあるんですね?とお聞きしたら、おじさん猛然と語り始めて「いやいやうちで置いてるのは全部青森産。これは●●県で開発された品種だけど、青森で作ると現地の何っ倍もよくなるの。青森の土と気候はどんな品種もすっごーーーーく美味しくしちゃうのよ。」なんて素敵なリンゴ愛♡その晩、竜飛岬のホテルの売店で買ったリンゴもパツパツの鮮度で、おなかパンパンの夕食後に思わずペロリと食べちゃうおいしさ。アップルパイの中身も砂糖やスパイスに頼らずリンゴ本来の味がいかされていてサイコー。青森リンゴ恐るべし!流通が便利になり各地の美味がいい状態で届くありがたい世の中だけど、実際に足を運べば別次元の素晴らしい味に出会えるんだな~、だから旅はやめられない。
ところでリンゴの木は滞在中全く見かけず、どこにあるのかちゃんと調べてまた行きたいなと楽しみが増えたのでした。
うのまきこ| UNO Makiko 料理研究家。食品メーカーで新製品開発等に従事したのち、料理研究家・古川年巳氏に師事。わかりやすいレシピと、野菜をたっぷり使ったヘルシーで簡単な料理に定評がある。アトピーっ子のための簡単な除去食メニューも得意。コープ自然派奈良元理事長。
Table Vol.509(2025年1月)