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生産者訪問・商品学習会

「水俣で自然と共生できるみかんづくりをめざして」(エコネットみなまた 藤井竜馬さん)

無農薬栽培の甘夏本来の味を活かしたマーマレード「自然派Style太陽の蜜」は水俣とつながり、未来への提案を込めた商品でもあります。生産者であるエコネットみなまたの藤井竜馬さんに開発の想いを聞きました。

エコネットみなまたの藤井竜馬さん

──エコネットみなまたの成り立ちを教えてください。
藤井
 1986年、水俣病患者の「環境保護を事業化したい」という呼びかけに応えて、患者、チッソ労働者、市民が出資して、廃食油リサイクル「水俣せっけん工場」を設立しました。工場内には共同購入会もあり、地域の産物を流通させようと活動し、その一つがリサイクル石けんでした。エコネットみなまたはその後、水俣ツアーの企画や農産物の生産、障がい者事事業所も開設。一貫して農薬や化学肥料不使用の農業や、自然環境、人権にこだわった事業運営をしています。

未来につながる暮らしかたを提案し、40年近く農薬や化学肥料を使わないみかんを育ててきました。

──商品の特徴を教えてください
藤井
 農薬・化学肥料不使用の甘夏みかんはまるごと使い、ほろ苦さを活かすよう粗糖の甘さは控えめにじっくり手作業で丁寧に煮つめ、隠し味に無農薬の温州みかん果汁を加えてコクを出しました。増粘剤は不使用。柑橘の内皮に含まれるペクチンで自然なとろみに仕上がっています。シンプルにスコーンやパン、ヨーグルトと食べたり、鶏肉を醤油とマーマレードに漬けて焼くのもオススメです。

──商品への想いを教えてください
藤井 
熊本県水俣市は、日本が抱える問題を凝縮させた水俣病事件が起きたところ。水俣病の原因であるメチル水銀に汚染された海を追われた漁師や水俣病患者が「水俣病に苦しんだからこそ、これ以上毒(農薬)は使いたくない」「弱く切り棄てられる生産者同士の絆を深め、水俣のみかんを通じて全国に水俣病事件をえ、自らの生活を据え返す契機にしたい」と取り組んでいます。次世代の若手生産者たちも、「私たちのみかんはただの無農薬じゃない。水俣病を経験した私たちが農薬に手を出していいのか?」という熱い気持ちで、多くの命が犠牲になった水俣で自然と共生できるみかんづくりをめざしています。

Table Vol.509(2025年1月)

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