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食と農と環境

いまコープ自然派がめざしていること(コープ自然派事業連合理事長 岸健二)

コープ自然派事業連合の岸理事長

コープ自然派から国産オーガニックを拡げる

 2030年ビジョン「PAF2030」では、「コープ自然派から国産オーガニックを拡げ、日本のオーガニック市場形成につなげる」ことを掲げています。国産オーガニックは、森・川・海の自然循環を土台とする安全な食べものづくりが基本となります。日本のオーガニック市場は年々成長していますが、現在の市場はちょうど20~30年前の欧米の状態に近く、まだまだ伸びることが予想されます。ただし、自然に伸びていくものではありません。各国の成長過程や発展要因には違いがあるので、しっかりと分析して、日本のオーガニック市場をリードする存在として、私たちはいま何を為すべきか、また、どのような役割を発揮していくのか、先を見据えて考え行動する必要があります。

 コープ自然派は「誰もが有機農産物(オーガニック)を食べることができる社会」をめざしています。その実現のために理念を共有する連携を拡げ、一般社団法人生協ネットワーク21(※1)が受け皿となって、国産オーガニック加工品の商品開発をすすめています。また、生協の枠を越えた取組として、農水省と連携して一般社団法人日本有機加工食品コンソーシアム(※2)という業界団体を設立しました。この2つの社団法人が両輪となって国産オーガニック加工食品の商品開発と原料産地拡大を推進していきます。

国産オーガニック推進のために

 2024年度上半期の利用人数は前年比102.6 %で、全国の生協のうち前年を上回ったのはコープ自然派のみでした。組合員1人あたりの購入額も全国No.1です。これは、組合員の皆さんが国産オーガニック推進を支持した結果が現れていると思います。

 「PAF2030」では組合員35万人・供給高500億円をめざしています。それに耐えうる設備の拡充として、徳島県板野郡にある常温商品セットセンターでは第2期工事が完了し、さらに兵庫県加古川市に新しい冷蔵品セットセンターが2026年春竣工予定です。この新センターができることで取扱アイテムを拡げられるので、オーガニック商品開発やヤングファミリー層向け以外の品揃えも強化していきます。また、サービス改革をすすめ、翌日配送や週複数回配送など、注文しやすく魅力ある配送システムの実現をめざします。

食べもの生協から暮らしの生協へ

 日本社会は構造的な長期衰退傾向にあり、その持続可能性が問われています。これからの日本社会にとって、持続可能な農業・福祉分野の人材確立は必要不可欠です。人口は減少し、ケアが必要な人は増える、このねじれた状況を変えるには再分配をするしかありません。しかし当面、政治に期待できないなかで、公助だけに頼っていては何も改善できず、もはや自助にも限界があります。これから必要なのは共助の拡大です。

 昨年12月、社会福祉法人コープ自然派ともには就労支援事業所「あゆむ」を開設し、有機農業による新しい農福連携をスタートしました。さらに志を同じくするオレンジコープ(※3)、ヘルプ(※4)との組織合同(経営統合)協議会を設置し議論しています。この連帯により農業・福祉における新たな取組がスタートします。

 コープ自然派は、前身である共同購入会からの50年の歴史のなかで、「原材料から無添加・無農薬」という設立当初の方針と想いを積み重ねて日本のオーガニック市場を牽引する位置まできています。そしていま、「いのちを大切にする」オーガニックと福祉の連携モデルをめざします。一人ひとりが理念に基づき、自ら考え行動することで、ともに共助によるオーガニックな未来をめざしていきましょう。

※1生協ネットワーク21:こだわり系生協ネットワーク(9生協・2連合会、組合員70万人、供給高900億円)
※2 日本有機加工食品コンソーシアム:会員数134社・団体(2024年11月末現在)
※3オレンジコープ:大阪府南エリア・和歌山県で活動する生協および社会福祉法人
※4 ヘルプ:京都府でこだわり食品専門店および農業生産法人を運営

Table Vol.509(2025年1月)

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