Table(タブル)はコープ自然派の情報メディアです。

くらしと社会

季節の食養生 ~漢方専門薬剤師、鍼灸師から学ぶセルフケア~

2024年10月11日、コープ自然派兵庫(ビジョン地域と福祉)と阪神医療生協は、初のコラボ企画を開催。阪神医療生協は、1969年から兵庫県尼崎市の小田地区、園田地区で診療所、鍼灸院、介護事業を行っている医療生協です。「食」を扱うコープ自然派と、「東洋医学」を実践する阪神医療生協が「医食同源」をテーマに、東洋医学センターの薬剤師、福田裕子さんと鍼灸師の渡邉清剛さんを講師に、未病の段階で食養生や鍼灸などで疾病を防ぐ「養生」について聞きました。

会場には約200人が集まり、講演後は鍼灸体験、漢方相談、健康チェック、試食などで賑わいました。

漢方専門薬剤師に聞く食養生

 漢方薬の材料である生薬は食材でできているものがあり、食べものも薬も同じように効能があるという「薬食同源」という考え方は、薬膳の基本。福田さんは「食材のもつ性格を知って食養生し、冬への適応能力を向上させましょう」と、秋のトラブルに多い「乾燥」におすすめの食材を紹介します。

これからの季節、のどや肺を潤す『大根のはちみつ漬け』を常備しておくのがおすすめ」と福田さん。

 乾燥トラブルによく使われる生薬「山薬」は、長芋・山芋からつくられ、食材としても胃腸機能を高め、肺を補い、腎を強化することで体を潤し、アンチエイジングの効果があります。りんごは酸味と甘みが体に潤いを与えて、肺を補う食材です。ネオニコフリーのりんごは皮まで食べることができる「一物全体」という考え方にも適っています。お腹の乾燥には胡麻が良く、お通じの改善にもつながります。皮膚の乾燥には生姜がおすすめ。冷えを感じる場合は温かい生姜が効果的で、胃腸が弱っているときは生食がおすすめです。福田さんは「一番大切なのは胃腸を整えること。漢方薬には必ず胃腸を整える生薬が入っていて、吸収するチカラを引き出します。くらしの中では芋類、雑穀などの米類、豆や種子を摂るようにして、肉より魚を積極的に取り入れると良いですよ」と、伝えます。

鍼灸で整える

 鍼灸師の渡邉さんに鍼灸のチカラを借りて季節の変わり目の不調を乗り切るセルフケアを聞きました。鍼灸とは、ツボに鍼を刺入する、お灸を置いて燃焼させるなど、体に刺激を加えることで自然治癒力を引き出し、免疫力を高めて病状を改善する治療法です。日本では約1500年の歴史があり、現代医療が発達した現在でもその効果と安全性が注目され、世界では100か国以上が積極的に取り入れている治療法です。

「ウガンダ共和国では結核予防のため、足三里にお灸をする「モクサアフリカ」という運動が展開されています」と渡邉さん。

 季節の変わり目は自律神経が乱れがち。自律神経は365日私たちの意思とは関係なく働く神経で、生きていく上で欠かすことのできない生命活動を維持しています。自律神経は活動時に優位になる「交感神経」と休息時に優位になる「副交感神経」があり、そのバランスが崩れることで生じる不調が体の様々なところに現れます。鍼灸治療をすることで血管が拡張されて血流が盛んになり、筋肉の緊張をやわらげたり腸内の循環が整えられ、全身に血がめぐることで免疫力が上って自律神経が整います。

鍼灸のいろはとセルフケア

 ツボ(経穴)は全身に361か所あります。人間の体の中にある生命エネルギーの通り道である「経絡」は14本。それぞれが特定の臓器と深い関係にあり、このルートの上にあるのがツボで、エネルギーの出入口です。経絡の流れがスムーズだと体のバランスが保たれ、臓器が不調だと関連するツボに異変を感じます。これを利用してツボに刺激を与えて筋肉のコリや痛み、内臓の不調、疲労などを改善することができます。膝の近くにある「足三里」は、胃腸の不調、足のトラブル、夏バテ防止などの効果があり、手の甲にある「合谷」は首肩コリ、頭や歯の痛みなど首から上の疾患に効くツボです。頭にある「百会」は、副交感神経を優位にするツボ、手首にある「内関」は不安や緊張を抑えるツボです。渡邉さんは「日常的にセルフケアで体を整え、季節の変わり目を穏やかに過ごすことで次の季節に備えましょう」と話しました。

Table Vol.508(2024年12月)

アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3

アーカイブ

関連記事

PAGE TOP