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生産者訪問・商品学習会

にんじんキャラバン♪熊本・山都町から生産者がやってきた!

2023年12月、コープ自然派各生協では、熊本県山都町からにんじん生産者を招いて、「にんじんキャラバン」を開催。しこくには谷藤晃宏さん、おおさかと兵庫には佐藤真実さん、京都と奈良には今村剛喜さんが来訪しました。その中から、12月20日に開催された奈良での様子をお伝えします。

今村剛喜さん(前列左から4人目)とコープ有機の西山翔さん(後列左から3人目)を囲んで。「誰もが有機農産物を食べることができる社会へ」というキャッチコピーは西山さんの発案だそう。

涙無しには語れない2023年

 「もともとにんじん嫌いだったのに、なぜかいまは夫婦でにんじん農家です」有機栽培でつくったにんじんのおいしさに、目からビームが出るほど衝撃を受けたという今村さん。就農して13年、有機JAS認証を取得して11年。BLOF理論を使いこなして見事な作物をつくる今村さんですが、今年は地獄の1年だったと話します。

 今村さんは、太陽熱養生処理で土づくりをしています。堆肥や肥料を入れ、水分をしっかり入れた畑にマルチを張り、太陽のチカラで土の温度を上げ、微生物を活性化して土をふかふかにしたり、雑草の種を死滅させる方法です。しかし今年は、なぜか太陽熱養生処理をした畝が草に覆われてしまったのです。にんじんは芽がきれいに出れば半分は成功といわれるくらい芽出しが重要な作物。畝に草があるとうまくにんじんの芽が出ず致命的です。そこで、もう一度太陽熱養生処理をやりなおしたのですが、またしても草が。どうやら地下茎で増えるタイプの草だったようで、種を死滅させる太陽熱養生処理では太刀打ちできませんでした。その結果、今年はにんじんがあまり育たず、ほとんど出荷できない状況になってしまいました。

 同じ頃、トマトにも悲劇が襲います。線状降水帯による集中豪雨でトマトの根が傷み萎れてしまったのです。こちらは栄養剤となる酢と微生物を投入して回復できましたが、その後は全く雨が降らなかったり極端な気候に振り回されました。

有機農業にとって、微生物は従業員

 「有機農業にとって微生物は畑をつくってくれる従業員なんです」今村さんは山都町にある豊富な地域資源を活用して微生物がしっかり働くふかふかの土をつくっています。やました牧場の牛糞堆肥、竹パウダー「山都タケル」、しいたけ農場あぐ里の菌床堆肥、そして今村さんの実家である今村建設が道路除草した雑草堆肥。地域のものは、世界情勢や為替レートの影響を受けずに安定価格で手に入ることが強みです。畑の土壌分析をし、これらの堆肥やミネラル肥料などを必要量入れることで連作障害もなくおいしい野菜を育てています。

 にんじん農家の1年は、堆肥や肥料をまいた畑をトラクターで耕し、7月頃太陽熱養生処理をします。その後、種をまき、約12日で発芽。水やりをしてすくすく育てば100〜120日で収穫です。手掘りですぽっすぽっと抜いていくのは快感ですが、気温がマイナス15度になることもある山都町では、冬が深まると凍った畑を砕きながら収穫しなければなりません。そして洗浄機で洗って出荷するのですが、こちらはとにかく重いのが大変。毎日25kgのコンテナ20個分を、収穫から納品まで6回も上げ下げしなければならずかなりの重労働です。

有機の学校ORGANIC SMILE

 今村さんも講師を務める有機の学校「ORGANIC SMILE(オーガニックスマイル)」は2022年に開校しました。昨年は9名卒業、今年は18名の学生が学んでいます。有機農業のいちばんの幸せは、自分の子どもや家族に食べさせたいと思うものを作れることだと話す今村さん。そして、有機であることの希少性以上に、味の希少性で勝負していきたいと言います。おいしくて栄養価の高い野菜を、多収穫できる技術が学べるのがORGANIC SMILE。賛助会員(フレンド会員)も随時募集中ですのでぜひご協力ください。

今村さんが描いた子ども向けの紙芝居「にんちゃんとじんくん」。今村さんのインスタグラム(@leafletfarm)にも掲載。

試食は、にんじんごはん、にんじんポタージュスープ、にんじんステーキ…とにんじんフルコースでした。

Table Vol.498(2024年2月)
一部修正・加筆

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