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くらしと社会

おとなの公民 「さんぎいんて、なぁに?」

2022年4月28日(木)、コープ自然派奈良は今夏実施される参議院議員選挙についての学習会をオンライン開催。CIVICチーム・夕田さんと北田さんが中心になり、参議院と衆議院の違いや役割などについて話し合いました。

コープ自然派奈良「CIVIC 〜よりよい市民になるために」チーム代表・夕田さん(左)の司会でワークショップが進められました。同チーム・北田さん(右)は、インドネシア語通訳の仕事を通じて東ティモールの国会見学の経験談を披露。

参議院議員のイメージ

 学習会はワークショップ形式で進められ、参議院からイメージする言葉出しからスタート。「任期が6年で安定している」「タレントなどの有名人が多い」「真夏に実施」「衆議院に比べてギラギラしていない」「ねじれ」「衆議院の方がエライ」「国会議事堂の形はシンメトリーだが、国会のしくみが反映されているか疑問?」などの発言をもとに議論を深めました。

 また、公民の教科書を読み合わせ、参議院の任期や選挙の仕組み、被選挙権、役割など基本的な情報から国会議員になるまでの事例、法案がどのように成立するのかなど出版社によって特徴があることを確認。現在使われている中学3年生用教科書には、各政党の公約や代表者の顔写真、議席数、与野党など政界の状況も記載されていました。

参議院と衆議院の違い

 参議院議員通常選挙は参議院議員の半数を選ぶための選挙です。参議院に解散はなく、6年の任期満了で、3年ごとに議員の半数(248人中124人)が改選されます。一方、衆議院議員総選挙は衆議院議員(465人)の任期満了(4年)によるものと、衆議院の解散によって行われるものがあります。参議院の任期が長く安定しているのは、長期的・総合的な視点に立ちつつ、それらの問題に対応することが期待されるから。任期が短くいつ解散するかわからない衆議院は選挙を通じて国民の意思を問う機会が多いため、国会答弁や選挙区でのあいさつ回りなどで強い印象を残そうと、参議院より”ギラギラしている“ように見えるのかもしれません。

 ”衆議院の方がエライ“と感じるのは、衆参両院の議決が一致しない場合、衆議院に強い権限が認められている「衆議院の優越性」という制度によるものです。”内閣不信任の決議をする権限“”予算を先に審議する権限“が衆議院にのみ認められ、”予算の議決“”条約の承認“”内閣総理大臣の指名“は衆議院の議決が国会の議決になり、”法律案の再議決“は衆議院が出席議員の3分の2以上の賛成で再可決すると法律になります。衆議院は任期が短く解散があり、国民の意見とより強く結びついているため優越性が認められているということです。

参議院に求められる役割

 「本来、参議院は高い専門性をもつ人たちで構成されるチェック機関でしたが、1960 年代にその役割が崩れ始め、”衆議院の補助機関“や”衆議院落選者の救済機関“になったように感じます。それは、1982年に全国区制を廃止し、拘束名簿式(あらかじめ政党側で候補者の当選順位を決めた名簿を確定しておく方法)比例代表制を導入したことが原因の1つだと考えられます」と参加者の1人。地方区はドブ板選挙(有権者の家を一軒ずつ訪ね歩くような選挙活動)や利益誘導(支持基盤とする地域もしくは業界に政策的な便宜を図ること)が起きやすくなりますが、全国区では新幹線の誘致や高速道路をつくることを公約に掲げても関係する地域の票しか集められません。全国区の選挙活動は知名度が高い人が有利になるため、1960年代からアナウンサーや記者、小説家、放送作家、芸能人などの擁立が増えていきました。全国区の選挙は日本全国を遊説するなど費用がかさむというデメリットがありますが、「立会演説会はYouTubeなどオンライン上で流した方が効果的なので、これからはインターネットを活用した選挙制度を考えなければならない」「全国区制が復活し、選挙運動をネット化すれば、候補者と有権者が接触しないので金銭のやりとりが不可能になり、買収や利益誘導がなくなるのではないか」など選挙制度の改善案にまで話が広がりました。

 最後に、「さんぎいんてなあに?」の質問に「専門性が求められるから、しっかり勉強している人を選ぶ」「立法段階でのチェック機能」「6年先まで任せられる人を選ぶ」など参加者が答えて終了しました。

Table Vol.466(2022年6月)より
一部修正

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