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食と農と環境

【寄稿】有機のまち、くまもと山都町から=鎌田妙子(コープ有機九州支所支所長)

農業生産法人「コープ オーガニック・ガーデン(COG)」 のスタッフ。
農業生産法人COGの育苗ハウス

 誰もが有機農産物を食べられる社会を目ざして、コープ有機はコープ自然派の商品部青果部門が独立してできた農産物専門の会社です。コープ有機では、産地と連携し、計画的な生産、余剰野菜の販路づくり、物流改善などを行っています。

 九州支所は神戸本部、徳島支所に加えて、東海支所とともに昨年開所した新しい事務所です。事務所はちょうど九州の「へそ」にあたる、熊本県上益城郡山都町にあります。熊本市内から少し距離のある、阿蘇の外輪山に位置する山あいの町です。人家も少なく、夜は真っ暗。とても辺鄙なところです。では、なぜここに支所をつくったのか?九州支所という名前のとおり、九州全域の産地から青果を送り届けるのが任務ですが、有機農産物の産地をつくるという大きな目標を達成するためには、ここ山都町には素晴らしい生産者たちが集まっていたからです。

 今回は、コープ有機九州支所の仕事内容を紹介します。この春からコープ有機の子会社として農業生産法人「コープ オーガニック・ガーデン(COG)」が有機野菜の生産を始めます。また、九州支所には産地で農産物を「集荷」し、パッケージセンターで「袋詰め」し、大型トラックで神戸まで送り届けるという一連の仕事があります。さらに「有機のがっこう」の運営も準備していて、生産者と一緒に有機の栽培技術の研修など学びの場をつくる計画も進めています。

 農業生産法人COGでは、ハウス10棟、露地の圃場7ヵ所の2.5haをフル活用して有機の小松菜、ほうれん草、水菜、チンゲン菜を栽培しています。この春、就任した農場長を中心に、4〜5名のパートスタッフで肥料散布⇒耕耘⇒播種⇒散水⇒収穫と途切れないサイクルで栽培していますが、暑くなり日照りが続くこれからは、水やりと除草が重労働になります。すべての圃場に自動潅水装置を設置するべく、水道・土木工事も農場の仕事として取り組んでいます。

 私事ですが、昨年コープ自然派を定年退職後、コープ有機で再雇用となりこの地に赴任しました。しかし、ここでは私よりずっと高齢の方々が農業以外にもさまざまなところで普通に難なく仕事をされています。農業生産法人COGでも、パッケージセンターでも、年長の方々で仕事が支えられています。老後の経済的なゆとりに加えて、自家菜園のおすそ分け文化もあって食べることに困らない、豊かな田舎暮らしがここにいると実感できます。

Table Vol.418(2020年6月)

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