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くらしと社会

放射能汚染水を海洋に放出しないで‼

放射能汚染水の海洋への放出に反対する署名活動にご協力いただきありがとうございました。
2019年12月16日(月)、コープ自然派事業連合理事会代表1名とコープ自然派会員生協代表6名(高知県、兵庫県、奈良県、大阪府、京都府)が1万3,812筆の署名を国と東京電力に届け、経産省、水産庁、東京電力の担当者と意見交換しました。

コープ自然派を代表して国と東京電力に署名を提出。

放射能汚染水をめぐって

 東京電力福島第一原子力発電所による放射能汚染は海洋汚染が8割を占めると言われ、膨大な放射性物質を含む高濃度汚染水が流出しました。放射性物質によっては長期間放射線を発するものがあり、食物連鎖・生体濃縮により、食べものとして体に取り込まれ蓄積します。そして、原発事故から9年目を迎えようとしている今も原子炉冷却のために冷却水を注入し続け、地下水などの流入が加わって、原子炉建屋には2.9万トン以上の高濃度汚染水が滞留しています。

 放射能汚染水に関しては、2016年10月14日、水産庁からコープ自然派の商品案内26号(2016年9月26日~30日配布)での「今なお、福島原発事故では1日400トンの汚染水が海に流されています」という記述の削除を求める文書が届きました。コープ自然派と水産庁でやりとりし(HPに掲載)、記述について正すとともに2018年10月15日、コープ自然派の見解を示しました。そのなかで、水産庁には国民・住民の財産を守り、中立公正な国の機関として国民・住民の立場に立った対応を要望。また、国民・住民が正しい認識を持てるよう放射能の海洋放出量や水産品の放射能汚染の実態調査を政府の責任として行い、漁業復興のために汚染水の海洋放出に反対することを求めました。

汚染水についてやりとりしてきた水産庁にも署名を提出しました。

海洋汚染に断固反対‼

 増え続ける放射能汚染水はタンクに保管していますが、東京電力はタンクを設置する敷地が2020年で限界になるからと、ALPS(多核種除去設備)でトリチウム以外の放射性物質を除去して海洋へ放出することを政府に求めています。しかし、2018年9月、東京電力はALPS処理後の汚染水の8割超が国の基準値を超えた放射性物質を含み、一部はストロンチウム90が基準値の2万倍だったことを公表しました。汚染水の海洋放出について地元の漁協は反対を表明し、組合員の不安も大きいことから、コープ自然派では汚染水の海洋放出に断固反対すべきだと署名活動に取り組みました。

独自では実態を把握せず

 2019年12月16日、コープ自然派事業連合および会員生協代表者は参議院会館にて経産省、水産庁、東京電力に署名を提出。その後、フリージャーナリスト・守田敏也さんも参加して意見交換しました。まず、2013年に東京電力が公表するまで、大量の放射能汚染水が流出し続けていたことを経産省も水産庁も把握していなかったことが明らかになりました。2018年9月、ALPSで処理した汚染水の8割超でトリチウム以外の放射性物質の濃度が規制基準を超え、ストロンチウム90が2万倍だったことについては、「ALPS処理が初期にはうまく機能せず、2018年9月はそれまでに処理した数値を公表。現在は75%に軽減している」と、汚染水の海洋放出については経産省の小委員会で検討中だということでした。ストロンチウムについて8年間で300検体しか測定していないことについては、国はセシウム濃度を基準にし、ストロンチウムの測定は事故以前から研究の一環として行っていたものを踏襲しているということです。また、20km圏内の魚については東京電力と福島県で検査し、セシウム濃度の合計値が多い上位5種についてストロンチウム濃度を測定。5月28日に54ベクレル/kgが確認された以外は10ベクレル/kg未満だということです。港湾内の魚については東京電力が検査し、これまで6000匹を測定、事故直後は20万ベクレル/kgのものが検出されましたが、今は基準値を超える魚は月に1匹いるかどうかということです。

国と東電に要望を伝える

四国・関西からの会員生協代表者が経産省、水産庁、東京電力の担当者と意見交換。

 最後に、国と東京電力に要望や思いを伝えました。「誇りを持てるような仕事をしてほしい」「いつも重大な情報を後から知らされるが、事実を隠さず、情報を早く国民・住民に伝えてほしい」「コープ自然派は事故直後から独自で放射能検査を実施し、組合員に公表。ストロンチウム検査については組合員からカンパを募って行っている。最初は安全だと言われ、後からそうではなかったという前例はこれまでも多く、水俣病患者は今も苦しんでいる」「国の基準値は事故後に引き上げられたままで、100ベクレル/kgは高すぎる」「魚に直接関わる水産庁はストロンチウムについても独自で調査し、安全性に責任を持ってほしい」などの声を伝えました(直後の2019年12月23日、経産省小委員会は汚染水の処分方法を海洋放出か大気放出に絞り込んだことが公表されました)。

コープ自然派の取り組みについて、コープ自然派事業連合を代表してコープ自然派京都・坂本理事長(コープ自然派事業連合・脱原発担当理事)が説明。
一人ひとりが思いや要望を国と東京電力に伝えました。

Table Vol.408(2020年1月)

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