無添加・手作業で魚の加工品をつくる鳴門魚類株式会社の「おいしさ、安全、安心」を追求する商品づくりへのこだわりや想いを、代表取締役である山本章博さんにインタビューしました。
──鳴門魚類とコープ自然派の出会いは?
山本 28歳の時に父の体調が悪く鳴門に戻り、アパレル業界から水産加工へと転身。鯖の三枚おろしから始め、工夫と失敗を繰り返しながら「魚屋でやっていこう」と決心した頃、コープ自然派の前身「徳島暮らしを良くする会」と出会いました。
当時の共同購入会は水産加工品の種類が少なく、組合員の要望に応える形で、「こんなのできる?」と尋ねられ、「やってみましょう!」と、さまざまな干物や漬け魚が生まれていきました。
──鳴門魚類の商品の特徴は?
山本 鳴門魚類では、厳選して買い付けた旬の魚を一尾一尾ていねいに開いて、手作業で仕込んでいます。調味料は、天日塩、国産丸大豆醤油、三河みりん、自然派Style関西風だしパック、ヤマク食品の味噌などを使っています。
コープ自然派と対話を重ねながら商品を開発してきたので、僕は無添加のやり方しか知らないんです。効率や見た目を重視して、加工の機械や食品添加物を多用する大量生産とは真逆の商品づくりです。
──イチオシ商品を教えてください
山本 「自然派Style雄武秋鮭(無塩)」は、旨みのある無塩の秋鮭です。
良い漁場を探して全国をまわるなかで、オホーツク海沿岸の雄武漁協と出会いました。雄武漁協は豊かな漁場を守るために「資源保護型漁業」を行い、山・川・海の循環を再生するため植樹にも取り組んでいます。協同組合として「漁業のまちづくり」をすすめ、漁船に乗る人の多くが20代の若者たちです。
「西京漬けシリーズ」は、独自配合の西京味噌を毎回調合して風味を保ち、魚1枚ずつ味噌をつけて冷蔵庫で2晩熟成。砂糖を使わず素材の旨みと甘みだけでじっくり漬け込み、上品な甘みに仕上げています。「銀ダラ西京漬け」は、高級魚の銀ダラにほんのり甘い味噌が染みて、脂がのっているのにしつこくなく、おいしいと好評です。
──ゲノム編集魚について思うことは?
ゲノム編集魚は魚の安定供給が目的だそうですが、漁獲量の減少は、日米韓合同軍事演習による漁獲水域の減少や、船籍や漁師が減っているからです。そもそも海の資源を守って、原発の汚染水も海に流さず、食べ続けられるようにすればいいんです。海に囲まれた日本は、魚種を選ばずに食べれば魚の食料自給率は100%を超えます。
Table Vol.503(2024年7月)