高知県土佐市にある「かめのこ農園」では農薬に頼らず、虫が虫を制す「天敵農法」でピーマンを育てています。なんと、ハウス内には20種類以上の虫たちが働いているのだとか。農薬を使わず自然のしくみを活かした次世代型の農業とは?今月の「ちょっと教えて」は、かめのこ農園さんにに、「天敵農法」について教えていただきました。

天敵農法ってなに?
栽培する作物に害を及ぼす虫を天敵昆虫で抑える農法です。

作物の汁を吸って弱らせてしまうコナジラミやアザミウマを食べてくれます。名前の通り、黒く丸みを帯びたひょうたん型の小さな虫です。

アブラムシやハムシなどいろんな害虫を食べてくれるオールラウンダー。体長1センチほどの日本最大級のテントウムシ。
「かめのこ農園」という名前の由来にも。
なぜ天敵農法を始めたの?
農薬を使っても、すぐに耐性をもった害虫が出現。新しい薬を使っても、また効かなくなる、その繰り返しに疲れ果てた頃、「天敵農法」に出会いました。導入から20年、農薬を使わなくなって体も元気に!趣味の釣りも楽しめるようになりました。
栽培で1番大事なことは?
日々の観察です。天敵も生きものなので数は常に変わります。害虫を見つけたら目印をつけ、そこに天敵を放ちます。発見が遅れると被害が拡大するため、早期発見と、天敵が過ごす畑で農薬は使いたくないので、いかに早く天敵を放つかがカギです!

天敵昆虫はどうやって手に入れるの?
ハウスや野外で採集し、購入した天敵と一緒に専用ハウスで増やします。土着の虫はハンティング能力も抜群。強い遺伝子を持つ土着天敵と購入した天敵が交配すると、早い段階で捕虫能力の高い子孫が生まれます。
同じく天敵農法に取り組む高知県芸西村の「芸西チーム」とは、虫が足りないときにお互いの虫を融通し合う「天敵リレー」をしています。虫も人も支え合いながらのユニークな農業です。

Table Vol.515(2025年7月)