2024年2月26日、自然の住まい協議会は、国産材住宅推進協会の中津真さんを講師にZEH学習会を開催。実際にZEH住宅に住む施主からも住み心地を聞きました。
あたたかく、呼吸する家
施主はもともと大阪に住んでいましたが、仕事の都合で神戸市北区に転居。標高が高く想像以上に寒いことにびっくりし、暖かい家を求めて家づくりをはじめました。自身がアレルギー性皮膚炎や喘息を患っているため、化学物質の少ない建築資材を使いたいという思いもあり、国産材住宅推進協会の設計士・中津さんに伴走してもらうことになりました。
土地探しから設計の段階で10回以上打ち合わせをして、いろいろな要望やアイデアをすり合わせていきました。床は、トイレや洗面所はコルク材、それ以外の部屋は杉板を貼って、裸足で過ごせる気持ちよさ。床下エアコンを入れて1階全体を下から暖める暖房設計で、1階の暖かさを2階に上げるため吹き抜けに。太陽光発電を取り入れ、それまで年間20万円近くかかっていた光熱費は5万円程度と約4分の1になりました。実際の暮らし方を丁寧に聞き取った上で、収納や導線を設計してもらったことで、完成から1年半経った今でも日々住みやすさを感じています。
ZEHとは
ZEH(ゼッチ)とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、使うエネルギーを減らし、つくるエネルギーを増やすことで、エネルギー収支をプラスマイナスゼロにしましょうという考え方の家を指します。方法は、エネルギーをつくる(発電)、使うエネルギーを減らす(省エネ)、エネルギーを逃がさない(断熱・気密)の3本柱です。
1.エネルギーをつくる
住宅に発電設備をつけることを考えたとき、選択肢としては太陽光発電、風力発電、ガス発電(エネファーム)などがありますが、現状8〜9割の家庭で太陽光発電が選ばれています。自宅でエネルギーをつくることは、災害時への備えにもなります。
2.使うエネルギーを減らす
ZEH住宅の省エネ基準は、一般的な住宅の約20%減。これを冷暖房、換気、給湯、照明などの設備を見直すことで実現していきます。「全館空調システム」という、家の中の空気を回すことで家全体の温度を均一にする設備が一般的ですが、国産材住宅推進協会では費用対効果の高い「床下エアコン」をオススメしています。
3.エネルギーを逃がさない
高断熱・高気密で熱を逃がさないことも重要です。断熱性能を上げる方法は、壁の内側に断熱材をしっかり入れることと、窓対策。家の中で最も熱が逃げやすい場所は窓なので、窓を小さくしたり、サッシを樹脂製にしたり、ガラスを熱が逃げにくいものに変えるという工夫をします。光を多く取り入れたい場合、高断熱を実現しながら大きな窓をとることは設計士の腕の見せ所です。
高性能な家だからこそ自然素材を
近年、冬はもちろん、春は花粉、夏は酷暑で窓を開ける機会がどんどん減っています。昔と違って、窓を閉めた状態でいかに快適に暮らせるかを考えなくてはいけない時代になっています。だからこそ、自然素材が重要。無垢の板、自然素材の塗り壁や紙クロスなど、調湿性能があって空気をきれいに保てる素材を使うことが暮らしやすさに直結します。自然素材は静電気が起きにくく埃が少ない、経年変化が「劣化」ではなく「味」になっていくというメリットもあります。
国産材住宅推進協会では、100年住める家づくりをしています。木は製材されてから100年後がいちばん強度が高くなります。もちろんメンテナンスは必要ですが、そこまでもつように設計をしています。そして、新築だけではなくリフォームも請け負っています。国産材や自然素材を使ったZEHの家づくり、チャレンジしてみませんか。
Table Vol.501(2024年5月)