「図書館は継続性が大切、100年、200年のスパンで運営を考えなくてはなりません。図書館はみなさんが利用することで成長し、社会全体も良くなります」と図書館問題研究会大阪支部事務局長・脇谷邦子さん。

2019年秋、南海和歌山市駅ビルに移転する和歌山市民図書館の指定管理者が「カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)」に決まりました。「CCC」は、レンタルショップ大手「TSUTAYA」を運営する企業です。2018年5月23日(水)、コープ自然派おおさかは「図書館問題研究会」・脇谷邦子さんを迎えて、学習会を開催しました。

図書館は成長する有機体

 現在、年間7〜8万冊の書籍が出版され、その中から本の地域性や正確性、長期間利用できるかなどを考え、それぞれの図書館が予算に合わせて購入します。インド図書館学の父、ランガナタン(1892〜1972年)が提唱した図書館学五原則の1つ「4.読者の時間を節約せよ」にあるように、図書館は利用者が求める本や情報を早く確実に提供しなければなりません。また、「5.図書館は成長する有機体である」と時代の変化や利用者のニーズを反映しながら成長・発展していくものだと唱えています。戦前の日本の図書館は有料で、子どもの利用が制限されていましたが、1950年、公立図書館の無料原則が図書館法で定められました。図書館の無料原則は、義務教育後の教育の保障であり、国民の知る権利を保障し民主主義を維持するためにも、必要不可欠なものです。「貧困から抜け出す第1の方法は教育であり、人が自立して生活することを応援するのが図書館の役割です」と脇谷さん。図書館は本の利用だけでなく、子育て支援やビジネス支援、専門機関の紹介など必要な情報とつなぐ役割も担っています。

選定・分類など問題多数

 2003年の地方自治法改正で、営利団体が指定管理者として公共施設の管理運営に参加できるようになり、図書館の指定管理者として主に図書館流通センター(TRC)、大手の書店、ビルメンテンナンス会社などが参入しています。2017年に行われた和歌山市民図書館の指定管理者選定のプレゼンテーションで、「CCC」はカフェや和歌山の特産品、書籍などの販売スペースを設け、市民の憩いや町おこしの場にすることをアピールし採用されました。

 全国で開館中の5館の「ツタヤ図書館」でさまざまな問題が噴出しています。吹き抜けのフロア、天井まである高層書棚などおしゃれな空間演出が話題ですが、現在は子どもや車イスの人でも手が届く低い書棚が主流です。選書にも問題があり、武雄市(佐賀県)では「Windows98/95」、「埼玉ラーメンマップ」、風俗店紹介本など地域性と公共性を無視した中古本を大量に購入し、海老名市(神奈川県)ではリニューアル後に購入した本の約半数が料理本でした。「ライフスタイル分類」という「ツタヤ図書館」独自の分類法が採用され、古典文学の「伊勢物語」や旧約聖書の「出エジプト記」が旅行に分類。「本が探しづらい」との声があがっています。また、レンタル用のカードを図書館利用カードとして使用・ポイント付与できるため、誰がどんな本を借りたか貸出履歴のデータがカードに残り、カード会社に情報として蓄積されます。カード会社は個人情報を使用することはないとしていますが、将来的な情報の管理はわかりません。

 「利用者が多く歴史ある和歌山市民図書館の運営はCCCに任せられません。市民がしっかり監視し、あきらめずに訴えかけ、理解者を増やしていくことが大切です」と脇谷さんは訴えました。

Table Vol.372(2018年8月)